
「資金繰りがいつもギリギリ」「来月の支払いが不安」「売上はあるのに手元に残らない」——そんな悩みを抱えていませんか?家族で営む小さな会社や個人事業では、日々の資金の流れが見えづらく、先行きの不安が経営者の心を重くします。
このコラムでは、そうした不安を少しずつ安心に変えていくための「日繰り表」の活用術をご紹介します。数字が苦手でも大丈夫。日々のちょっとした習慣が、経営の安定につながります。今回は、日繰り表を財務分析ツールとして使いながら、「お金に色をつける」ことで資金繰りの見通しを立てる方法を解説します。
目次
なぜ日繰り表が資金繰り改善に役立つのか?
日繰り表は、日々の入出金を記録するだけでなく、資金の流れを整えるための「経営の羅針盤」として機能します。特に資金繰りが苦しいと感じている方にとって、日繰り表は「お金の動きの見える化」を実現する強力なツールです。
前回までのコラムでは、日繰り表を使って「残高にこだわる」「入るを計り出るを制す」という視点を持つことで、資金繰りの好循環を生み出す方法を紹介しました。今回はその応用編として、日繰り表を財務分析ツールに進化させる方法をお伝えします。
ステップ①:お金に「色」をつける
まずは、お金の動きを分類することから始めます。日繰り表に記録された「はいる(入金)」「でる(出金)」を、さらに細かく分けていきます。
はいる → うる(売上)/かりる(借入)
でる → つかう(経費)/かえす(返済)
この分類を「お金の色」として捉えることで、資金の用途が明確になります。たとえば、売上はピンク、経費はブルー、借入はベージュ、返済はグレーなど、色分けすることで視覚的に理解しやすくなります。
この「四色のる(うる・つかう・かりる・かえす)」を意識するだけで、資金の流れが整理され、何にどれだけ使っているかが一目で分かるようになります。
ステップ②:分類した項目を集計する
次に、分類した項目ごとに金額を集計します。1か月分の日繰り表があれば理想ですが、1週間分でも構いません。
うる(売上)=a
つかう(経費)=b
かりる(借入)=c
かえす(返済)=d
この集計によって、営業活動による収支と財務活動による収支を分けて考えることができます。資金繰りが苦しいときほど、どこにお金が流れているかを把握することが重要です。
ステップ③:計算して表にまとめる
集計した数字をもとに、以下のような表を作成します。
前月末の残高(A)
うる(a)
つかう(b)
営業収支(のこる①)=a - b
かりる(c)
かえす(d)
財務収支(のこる②)=c - d
総合収支(のこる③)=① + ②
月末の残高(B)=A + ③
この表を作ることで、今月の資金の動きが一目で分かるようになります。色分けを加えるとさらに視覚的に理解しやすくなります。
入金(うる・かりる)→暖色系(ピンク、ベージュ)
出金(つかう・かえす)→寒色系(ブルー、グレー)
収支(のこる①②③)→オレンジ・緑
残高(A・B)→黄色
数字が苦手な方でも、色で感覚的に把握できるのがポイントです。
ステップ④:未来を予測する
ここまでで「今月の動き」は見えるようになりました。次は「来月以降の予測」です。
来月の売上(うるa)
来月の経費(つかうb)
来月の借入(かりるc)
来月の返済(かえすd)
これらを予測して、同じ表を未来に向けて延長してみましょう。通帳、請求書、販売ソフト、会計ソフトなどを参考にしながら、最低2ヶ月、できれば3ヶ月分の予測表を作成してみてください。
「予測なんて当たらない」と思うかもしれませんが、予測すること自体に意味があります。天気予報のように、「雨が降るかもしれない」と思えば傘を持って出かけるように、「お金が足りないかもしれない」と思えば、早めに対策を打てるのです。
なぜ予測が必要なのか?
資金繰りが苦しい方ほど、「予測なんて意味がない」「正確じゃないと不安」と感じるかもしれません。しかし、予測→予定→修正→確定→実行→振り返りという流れを習慣化することで、資金繰りの不安は確実に減っていきます。
これはいわゆるPDCAサイクルです。予測は完璧でなくていいのです。まずは「ざっくり」でもいいから立ててみる。そして、実際の数字と照らし合わせて修正する。その繰り返しが、経営の安定につながります。
日繰り表は「財務の見通し」をつくる道具
日繰り表は、目先のやりくりだけでなく、未来の見通しを立てるための道具です。分類・集計・計算・予測というステップを踏むことで、次のような問いに答えられるようになります。
残高が減る月はいつか?
その原因は何か?
今のうちにできる対策はあるか?
借入や支払いのタイミングを調整できるか?
こうした問いに答えられるようになると、資金繰りの不安は「見通し」に変わります。お金の流れを見える化し、色をつけて整理することで、経営の羅針盤が手に入るのです。
まとめ:お金に色をつけると、未来が見えてくる
小さな資本を回す家族経営や小規模事業者にとって、資金繰りは生命線です。事業持続性を確保するために、まずは「お金の動き」を見える化し、予測する習慣をつけましょう。
日繰り表は、単なる記録ではなく、未来を見通すためのツールです

