ご支援の背景

金融機関と連携した企業再建の伴走型支援。中小企業の現場では経営課題を特定することが難しく、課題の見立てや解決策の選択を間違うケースがあり、社内や取引先との混乱を生じさせて逆効果になるケースがあります。

今回のご支援は厳しい資金繰り状況、動態をモニタリングする一方で、そうした経営状況を踏まえた解決策の実行支援が求められており、丁寧な内部監査、業務監査による経営不振の本質的な課題抽出に重点を置いてすすめてみました。

ご支援内容

①資金計画の精緻化
試算表(貸借対照表、損益計算書)を使った業務監査
出金見込みの立て方、売掛金、買掛金管理方法
社内業務工程の改善ポイント

②利益向上策
棚卸、商品管理方法
試算表(損益計算書)棚卸の関係性
商品台帳、商品マスタ管理の改善ポイント

③物流・配送分析
物流調査とABC分析
課題抽出と改善の方向性

④内部統制
日次動態モニタリング技法
商品管理精度向上、在庫管理上の不正防止策

資金繰りが厳しい時にうつべき打開策は?

ご経営者、経理担当者とのご面会では「当面の資金繰りはなんとかなる」との事でしたが、いくつかの視点で質問を繰り返したり、財務諸表や経理、会計帳票を拝見する中で「異常」に気づき、その場で実際の資金繰り表を作成することとなりました。酒類卸の経営者時代に幾度と経験した酒販店、飲食店の債権回収、経営再建、破産・再出発の局面の中で開発した独自のファイナンスコーチング手法により予想通り当面の厳しい状況を発見することが出来、すぐさま処置方法について助言することが出来ました。

資金繰りを楽にしたい時に必ず行ってほしい事

資金繰りが苦しいとのご相談を受ける会社のほぼすべてが「どのように苦しいのか?」可視化されていないことです。人間の身体で言えば、足が痛いけれども、どこが、どのように痛いのか?言葉に出来ない状態です。そのため、いつも支払日直前になって「お金がない、支払いが出来ない」ことに気づき、あわてて銀行に走りこんで借入の申し込みをしたり、社内やご経営者個人の資金も踏まえてやりくりに奔走することが常なのです。

従いまして、資金繰りを楽にする方法は、まず自分の会社の資金繰りを可視化することです。その方法にはいくつかの方法がありますが、私がお薦めしているのは日繰りです。実際に再建した中小企業、個人事業主では必ず導入していただいています。

何故、日繰り表を作ると資金繰りが楽になるのか?

日繰り表とは毎日の入金、出金の履歴を記録していく方法で資金繰りの状態を可視化するものです。ほとんどの人は「めんどくさい」「毎日こんなことが出来るか?!」といった印象を持つかと思いますが、たしかに表を作成する事だけを目的として考えるなら、そのようにお考えになるのも仕方ありません。

たしかに税理士さん、公認会計士さん、経営コンサルタントさんで、この日繰り表をご指導される先生は少ないのではないでしょうか?そんなことをしなくても、一般的な資金管理表(金融機関からの資金調達などの際にも使用することが多い)、資金繰り表を作れば、もっとシンプルに資金繰りの実態を掴むことが出来るはずだと思われるはずです。

実はこの視点が、実戦で経営や厳しい資金繰りをした方とそうでない方との違いです。

MONEY IS TIME(資金は時間なり)

時は金なりとは良く言いますが私はあえて逆を申します。家族経営や個人事業など小さな組織の経営とは少額資本をいかにうまく回転(経営)するかが求められます。その中で資金繰りが厳しいとは残高が非常に少なく、支払日には資金不足が常態化している状況を指します。資金繰りに追われるとは、時間に追われることなのです。したがいまして月次のいわゆる一般的な資金繰り表では週次、日次ベースでの資金残高、動態モニタリングができないため、いつまでに何をすれば良いのか?といった打開策や優先順位がつけにくいのです。

最悪を事態を凌いだ企業の次の一手は?

さて、日繰り表の作成により資金繰りの厳しさが可視化され、次の一手を正しくうつことにより最悪の事態を免れた企業さんですが、コップの水が一度あふれるとなかなか余裕が出来ないもので、これからも厳しい局面は続きます。とりわけ一月、二月といった売上減少局面では仕入の支払と売上の回収のバランスが大きく変動するため「勘定あって銭足らず」の状況が起こりやすいものです。そうした季節変動要因を踏まえた次の一手は、まさに先を読むことです。これについては後日ふれていきたいと思います。

経営計画、資金計画・・・「作り方」より「使い方」

いずれにしても経営計画、資金計画といった「経営管理諸表」については、作り方についてのノウハウやセミナーは多数あるかと思いますが、大切なことは使い方を経営者、経理担当者が体にしみこませるように熟知し、使いこなす事です。

生産地問屋㈱平岡商店では、自らの事業承継と企業再建、多くの同業他社の事業承継、M&A、そして町の酒販店の淘汰、廃業期に数多く経験してきた企業再建、事業再生の実務で活用してきた事業計画、資金計画をはじめとした経営管理諸表をご提供し、作り方、使い方に限らず、社員や銀行向けのプレゼンテーション、会議資料作成方法まで伴走型で支援していきます。

経営とはコーポレートコミュニケーション

経営とは何をすることなのか?

最近は主婦や学生さんの中でも増えてきた起業、創業。自分のやりたい事を活かして業を起こすことは素晴らしい事です。そんな中で気をつけなければならないのが手段の目的化、つまり、起業や創業は目的ではなく経営のための通過点であることです。

では経営とは何をすることなのか?分かりやすく一言で言うと社会との対話=コーポレートコミュニケーションだと思います。ビジネスパーソンや主婦、学生時代とは比較にならないほど他分野の利害関係者との取引を中心とした対話が発生します。これまでは勤め先や、親がやってくれていた税務、労務、財務、法務。。。といった複雑難解な手続きなどもそうですね。