「税理士に丸投げするデメリットは何がある?」

「税理士に経理を丸投げするのはメリットだと考えているんだけど…」

このような悩みを抱えている方も多いはずです。

事業が忙しくなると、税理士に領収書などを送り完全な経理の丸投げをする、小規模事業者や個人事業主の方も多くなります。

ただ、本当に経理の丸投げにはデメリットがないのでしょうか。

当記事では、税理士に経理を丸投げするデメリットは何か、反対にメリットはないのかなどを解説します。

この記事を読むと、経理の丸投げをして良い社長とダメな社長の特徴も分かるので、最後まで見てみてください。

目次

税理士に経理を丸投げするデメリット

税理士に経理を丸投げするデメリットは以下のとおりです。

  • 経理の状態が確認できなくなる
  • 社長が知らなければならない情報が分からなくなる
  • 無駄な経費が掛かってしまう恐れがある
  • 想定外の出費がある

それぞれのデメリットを確認していきます。

税理士に丸投げ

デメリット1.経理の状態が確認できなくなる

経理の状態が確認できなくなるのも丸投げするデメリットです。

税理士に任せておけば確定申告や決算資料が「自動で」できあがる仕組みは、時間短縮につながります。

時間短縮につながるものの、社長が資料を確認できていなければ会社の財務状況を把握できません。

財務が分からない状態で経営をすることは業績悪化や資金ショートなどにつながるので注意してください。

デメリット2.社長が知らなければならない情報が分からなくなる

税理士に丸投げ状態では、社長が経営判断する際に知らなければならない情報も分からなくなります。

決算資料を見ても、売上の増減などに理由を見いだせずPDCAサイクルを回せないことも考えられます。

1年や2年の短期スパンでは問題は起こらなくても、いざ資金ショートの問題が出てきたときに銀行借り入れなどの打ち手がなくなるでしょう。

緊急の問題が出てきた際に、決算資料を読み込んでおけば良かったと後悔しても遅い場合が多いです。

反対に、業績が好調になっていたり、成長していたりするといった明るい兆しに気づくのが遅れ、攻めの戦略に遅れが生じる場合もあります。

デメリット3.無駄な経費が掛かってしまう恐れがある

無駄な経費が削減できない恐れがある点にも注意が必要です。

接待交際費や備品費などの変動費が多く掛かっている月に何があったのかを把握できていなければ、削減の施策が打てず無駄を出し続けます。

たとえば、12月は忘年会シーズンで接待交際費が多く、3月にも同程度の接待交際費を使っていたとするとどうでしょうか。

  • 12月:忘年会シーズンという理由がある
  • 3月:何の理由もないのに接待交際費が高い

仮に経費がどのように使われているかが分からなければ、3月の出費に気づかず常に無駄な交際費を使ってしまう恐れもでてきます。

このような状況だと、せっかくの運転資金を無駄に消費することにつながります。

デメリット4.想定外の出費がある

丸投げ状態では支払わなくても良い税金を支払ったり、控除を受けられなかったりといった想定外の出費が発生する恐れもあります。

本来、各種税金の申請は会社単位で行うものです。

しかし、丸投げしてしまうと事前の予測ができなかったり、事前に手を打っておけば軽減できたことができなかったりといったことも考えられます。

このようになると、キャッシュフローの悪化も考えられるので注意しましょう。

税理士に経理を丸投げするメリット

税理士に経理を丸投げするメリットは以下のとおりです。

  1. 時間の短縮につながる
  2. 経理のミスが減る
  3. 各種税金の申告期限内に納付できる

それぞれ解説します。

メリット1.時間の短縮につながる

時間の短縮につながるのは税理士に経理を任せる最大のメリットです。

時間の短縮は事業へ集中できる時間が増えますし、経理担当の負担も減らせます。

ただ、時間の短縮だけを見てしまうと、それ以上のデメリットが発生する恐れがある点に注意しましょう。

メリット2.経理のミスが減る

税理士は会計のプロのため、社員に任せるよりも経理のミスが減る可能性が高いです。

小規模企業や個人事業主だと、社長自らが経理資料を確認する必要があります。

個人的なチェックになると抜け漏れが発生する恐れもあるため、税理士に依頼しておいたほうが良い場合もあります。

メリット3.各種税金の申告期限内に納付できる

各種税金の申告期限内に税金の納付ができることも、税理士に経理を丸投げするメリットです。

税金の納付が遅れれば、当然罰則があり追徴課税になる恐れもあります。

たとえば、所得税の納付が遅れれば年利7.3%などの罰則が課されます。

税金の支払いは事業者の義務なので、ミスなく納付するためには税理士の力を借りることも大切です。

税理士に経理を丸投げするのに向いていない社長の特徴

税理士に経理を丸投げするのに向いていない社長の特徴の一例は次のとおりです。

  • 事業規模が大きく経理からの報告だけを聞いている社長
  • 経理の数字が分からない社長
  • 思考停止になっている社長

それぞれの特徴を解説します。

事業規模が大きく経理からの報告だけを聞いている社長

事業規模が大きくなると経理からの報告だけを聞いて資料の中身を聞いている社長もいるはずです。

経理からの報告で数値をリアルタイムで把握できているのに、税理士に依頼してしまうと2ヶ月のタイムラグが発生します。

今まではリアルタイムの数値情報を把握できていたのにもかかわらず、タイムラグが発生している経理情報を扱ってしまうと、余計に会社の状況を把握できなくなります。

経理の数字が分からない社長

経理の数字が分からない社長は、まず会計の数値を把握するところからスタートしなければなりません。

タイムラグはあるものの税理士に分かりやすく会計情報をまとめてもらっているのに、活用できなければ無駄が多い出費になります。

もちろん税金の支払いを遅らせることがないようにといった意味で、税理士に依頼している方もいらっしゃいます。

ただ、せっかく会計情報をまとめてもらっているなら、情報を活用する方法も覚えたほうが建設的です。

思考停止になっている社長

会社経営に対して思考停止になっている社長は、まず会社経営とは何かからスタートしなければいけません。

社員や従業員に経営を任せっぱなしで、経理の状況はおろか、貴社の売上がどのように立っているかも理解できていなければ経営はできないはずです。

たとえば、売上と利益の数字さえ分かっていない場合には、社長としての責務が果たせていないと考えたほうがいいかもしれません。

このような状況であれば、税理士に依頼するよりも、会社の基礎基本から分かっている財務のプロにコーチングを依頼したほうが効果が高いです。

税理士に経理を丸投げするのに向いている社長の特徴

税理士に経理を丸投げするのに向いている社長の特徴の一例は次のとおりです。

  • 個人事業主や小規模事業主
  • 経理が把握できていて結果だけを知りたい社長
  • 税理士と顧問契約などができアドバイスをもらえる社長

各特徴を詳しく解説します。

個人事業主や小規模事業主

自身で会計情報を理解できている個人事業主や小規模事業主の方は、税理士に経理を丸投げしても大丈夫です。

経理を社員を雇ってまですることはなく、外注として税理士を使いたいというパターンであれば、時間効率のためにおすすめできます。

経理が把握できていて結果だけを知りたい社長

個人事業主や小規模事業主に限らず、経理全般の概算が把握できていて結果だけを知りたい社長であれば丸投げもできます。

ある程度の概算が毎月出ていれば、あとは抜け漏れがないかを確認するだけなので、税理士にお願いしても経営判断に支障はありません。

税理士と顧問契約などができアドバイスをもらえる社長

事業規模が大きくなり経理情報を社長一人で把握できない状態なら、税理士との顧問契約を通してアドバイスをもらってください。

顧問契約といっても、何かがあったときに相談する費用ではなく、コンサルティングを受ける費用と考えると良いでしょう。

一般的にコンサルティングを含む顧問契約となると費用も高くなりますが、費用を支払っても十分ペイできる事業規模なら丸投げも問題ありません。

税理士に経理を丸投げする前に社長が考えるべきこと

税理士に経理を丸投げする前に社長が考えるべきことは以下のとおりです。

  • 自身は会社の経理事情を理解できているか
  • そもそも経理の数値感が分かっているか
  • 経理の数字を確認する際にコーチはいるか

税理士に丸投げを考える前に上記を確認しましょう。

自身は会社の経理事情を理解できているか

社長自身が会社の経理事情を理解できているかは必ず考えてください。

経理事情が分かっていないのに、税理士に丸投げしてしまうと余計に経営判断ができなくなります。

税理士に経理を丸投げするデメリットの中には情報のタイムラグも含まれるため、十分な注意が必要です。

そもそも経理の数値感が分かっているか

経理の数値感が分かっているかどうかを自身で判断できるかも、税理士に丸投げする前に考えるべきことです。

経理の数値感とは、売上に対して運転資金がどれだけいるのかといった情報になります。

たとえば、在庫を持たなければいけないビジネスや売上発生のタイミングが遅いビジネス(不動産業など)は運転資金を多めに見積もる必要があります。

このような自身のビジネスを十分に理解し、必要な経理の数値感も押さえてください。

経理の数字を確認する際にコーチはいるか

経理を知らない社長であれば、経理の数字を確認する際にコーチが必要です。

経理を税理士に丸投げするにしても、自立して確認しなければならない点を的確に押さえておかないと、話を鵜呑みにしてトラブルに巻き込まれる恐れもあります。

経理の数字を教えてくれるコーチングを受けるなら、以下の順番で学びを深めていきましょう。

  1. 信頼できる財務の専門家に依頼する
  2. アドバイスに従い会社事情に精通する
  3. コーチが居なくても判断できるようにする

信頼できる財務の専門家に依頼する

経理は会社事情全般が分かる情報なので、信頼できる財務の専門家に依頼しなければいけません。

信頼できると言っても定性的なので、より具体的な指標をお伝えすると以下のとおりです。

  • 多くのクライアントから信頼を頂いている
  • 成果・実績が豊富
  • 話を聞いてみて人となりがしっかりしている

まずは上記3点を確認し、信頼できるコーチかどうかを判断してみてください。

私(平岡)自身も多くのお客様に対してコーチングを提供しています。

以下のページでは、お客様の声を掲載しています。

平岡商店のお客様の声を確認してみる

アドバイスに従い会社事情に精通する

信頼できる財務の専門家に依頼したら、アドバイスに従い会社事情に精通するところからスタートしましょう。

特に会計の考え方を理解し、正確に情報を読み取ることが大切です。

コーチの言葉や課題をこなし、自身で経理情報を読み取れるほどになりましょう。

コーチが居なくても判断できるようにする

最終的なゴールはコーチが居なくても、自身で判断できるようにすることです。

コーチの役目はクライアントが自身で独立して動けるようになることであり、平岡商店でも伴走型支援を提供しています。

経営判断は自社の社長しかできないことなので、誰かに頼らず判断しなければなりません。

税理士に丸投げ

税理士に経理を丸投げする際によくある質問

税理士に経理を丸投げする際によくある質問は以下のとおりです。

  • 税理士に経理を丸投げする際の費用を教えてください
  • 個人事業主は税理士への丸投げは必要ないと言われていますが本当ですか?
  • 確定申告などは税理士にどこまで丸投げできますか

簡潔に回答します。

税理士に経理を丸投げする際の費用を教えてください

税理士に経理を丸投げする際の費用は顧問料の4〜6ヶ月が相場と言われています。

おおよそ10〜15万円で確定申告や決算資料の丸投げが可能です。

個人事業主は税理士への丸投げは必要ないと言われていますが本当ですか?

個人事業主の方も税理士に依頼するメリットは時間短縮です。

個人事業も幅広く、個人でも多くの売上を上げている方はいらっしゃいます。

そのため、個人事業主だからといった理由ではなく、事業規模で考えてください。

確定申告などは税理士にどこまで丸投げできますか

確定申告や決算資料、経理のアドバイザリー業務など幅広い業務を丸投げできます。

繰り返しになりますが、まずは経理情報を知るところからスタートしてください。

税理士に経理を丸投げするデメリットまとめ

今回の記事では税理士に経理を丸投げするデメリットを解説してきました。

社長自身が経理の状況を知らなければ、丸投げすると経営判断ができなくなる恐れもあります。

そのため、税理士に経理を丸投げする前に、コーチをつけて会計を知るところからスタートしましょう。