経営者は現場から信頼されてこそ、良い関係を築けるものです。そして、それこそが強い組織へと成長していくために欠かせない要素となります。

しかし、どうしても経営者の方と従業員の方との間には、大きな溝が生まれてしまうこともあります。そんなときどうすれば良いのかわからず、立ち止まってしまう経営者も少なくありません。

そこで、ここでは現場から抜群に信頼される経営者と題しまして、従業員と良好な関係を築くために知っておきたいことを紹介します。組織として強固な関係を築きたいということなら、参考にしていただければ幸いです。

現場から信頼される経営者の特徴

まずは現場から信頼される経営者の特徴を把握することが大切です。

ここでは簡単ではあるものの理想とされる経営者の特徴をまとめます。ご自身が経営者という方は、普段のご自身と照らし合わせながら考えてみてはいかがでしょうか?

1.コミュニケーションを積極的にとっている

現場から信頼される経営者に共通して見られる特徴として、積極的にコミュニケーションをとっていることが挙げられます。大企業だと経営者が1つ1つの現場に出向いてコミュニケーションをすることは難しいですが、特に中小企業では現場の意見や声を聞き入れながらコミュニケーションをとることで見方も変わってきます。

経営者と従業員の距離が近い組織の場合、自分たちの意見が通るほど、自分たちの声を聞いてもらえるほど信頼関係が育まれていきます。

距離か近いと必然的にチームワークも大切になるため、経営者自ら従業員に話しかけることが大切です。

もちろん、難しいことはありません。仕事のことでも良いですし、プライベートなことでも良いです。

とにかく接点を持つということが良好な関係を作るのに役立ちます。

2.現場に決定権を持たせている

現場から信頼される経営者の特徴としてもう1つ知っておきたいのが現場に決定権を持たせているということです。

働く人たちは各々が「こうした方がいいかも」「ああした方がいいよ」という思いを持っています。まずは現場の意見や声を取り入れてみましょう。

すべて取り入れる必要はありませんが「そのアイデアは素晴らしいですね」と取り入れてあげることで、現場全体のモチベーションアップにつながります。

自分の意見や声が通ると実感した従業員は豊富なアイデアが生まれるようになり、さらに現場も活気づいていくでしょう。いわば経営者はそれら従業員の発想を引き出す潤滑油なのです。

「現場の意見や声を聞いてくれる」という感覚そのものが信頼関係につながるので、まずは働く人たちを信じてあげてください。また、頼りにしてあげてください。

そうして自分のポジションを持たせてあげることで、プロ意識なども育まれていきます。結果、お互いが信じあえる素敵な組織へとつながっていくのです。

よくある現場と経営者の考え方の違いとは?

経営者と従業員というのは、度々すれ違ってしまいます。それ自体は決して悪いことではありません。どのような組織にも生まれる摩擦というものです。そもそも経営者と従業員とでは考え方が違うので、その摩擦を緩和できるよう歩み寄ることが大切です。以下、経営者と従業員それぞれが持つ考え方となります。

・経営者:理論に基づいて効率を重視(論理的に考える)

・従業員:仕事のやりがいや満足度を重視(感情的に考える)

経営者はどうしても利益を追求しなくてはならないため、理論に基づいて効率を重視してしまいます。

しかし、その一方で従業員は仕事のやりがいや満足度を重視している傾向があります。両者がこの視点をお互いに持つことで、ときには経営者の視点で、ときには従業員の視点で考えられるようになります。

例えば、経営者が効率を求めるあまり「ここをこうすればこういう結果になる」と論理的に考えたとしましょう。しかし、従業員はそもそも仕事に対してそのような視点を持っていません。

多くの場合は「楽しく働きたい」など感情的に考えるのが普通です。その状態で頭ごなしに指示だけを出していると、やはり現場から「あの経営者は何もわかっていない」という反感を買ってしまうわけです。

どんなに従業員のことを思っていても、経営者のスタンス1つで摩擦が生じてしまいます。

だからこそ、経営者と従業員とでは考え方が違うので、両者の立場を考えた環境作りが必要となってきます。

例えば、経営者は従業員のために職場環境を整えたり労働条件を見直したりする他、福利厚生や人間関係にも目を向けてあげることが大切です。

もちろん、どちらも人同士の関係なので信頼関係がないことには成り立ちません。そこは日々のコミュニケーションの中で、意見交換をしながら声を取り入れるなど工夫してみてはいかがでしょうか。

強い組織を創るために経営者がすることとは?

では、強い組織に成長させていくために経営者は何ができるのでしょうか。

まずはご自身にとって従業員とはどういう存在なのかを考えてみて、その中で働いてくれる人たちに向けてできることがないか考えてみましょう。

特に感情の要素が強い現場をまとめるためには、共感を得ることが大切です。

よくある摩擦として挙げられるのが、やはり経営者が従業員の苦労をわかっていないという点です。頭ではわかっているつもりでも、働いている人の数だけ仕事に対する苦労があります。そのため、経営者は従業員に対して、まずは共感しながら理解していくことが重要です。

仕事に対してどのようなことにやりがいを感じ、どのようなことを達成すれば満足度が高まるのか、そういった点を加味すると現場の様子も変わってきます。

よく観察することで従業員の気持ちが理解できるようになれば、自然と信頼関係も生まれます。

結果、働く人たちは当初自分のために働いていた一方、だんだんとベクトルが組織に向いていきます。そうすることで経営者の目指すベクトルと従業員の目指すベクトルが一致し、より強固な組織へと成長していけるのです。

あくまでも給料を稼ぐために働いている従業員の方たちも多いですが、仕事の意義のようなものを見出だすようになると飛躍的に成長してくれます。そこを伸ばせるかどうかは経営者の腕の見せ所かもしれませんね。

なお、正論では人は動きません。理屈で「こうすればこうなる」と説明したところで、現場がそれに従いたくないと思えばそれまでです。そのため、正論ではなくまずは現場を理解してコミュニケーションをとるよう心がけてみましょう。それ自体が強い組織を構築していく基盤となっていくはずです。

現場を知る経営者は強い

単にビジネスするということなら、経営者は事業を成長させることだけを考えていればいいのかもしれません。しかし、より強い組織を目指すのであれば、現場からの信頼を得ることは必要不可欠です。

会社や企業という大きな木を育てるためには「経営者(光)」と「従業員(水)」そのどちらも欠かせません。だからこそ、現場を知る経営者は強いと言えるのではないでしょうか。現場を知ることで強い組織が育まれていくでしょう。

平岡商店では、“誰よりも現場に強く、実戦経験豊富なコーチとして”中小企業の経営者サポートを行っています。

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