「DX総合EXPO」に行ってきました。講演レポート
私たちのお店にもできる!あの夢のテーマパークに学ぶ「愛され続ける秘訣」
人手や資金が少なくても実践できる、お店の「やる気」の引き出し方
昨日、幕張メッセの「DX 総合EXPO」に参加してまいりました。
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と聞くと、私たちのような小さなお店には縁遠い、難しい話に聞こえるかもしれません。しかし、元有名テーマパークの支配人であった、(株)チャックスファミリーの安孫子薫(あびこかおる)社長の講演は、「人や資金が少なくても、お客様に選ばれ続けるお店になる方法」という、大変身近で大切な気づきに満ちていました。
日々の商売を大切にされている、小規模事業者やご家族経営の皆様にこそお役立ていただきたい、講演のポイントを分かりやすくお伝えします。
第1章:成功の「土台」は、お店の「一番の目的」をハッキリさせること
あの有名テーマパークが成功し続ける秘訣は、大規模な設備や新しい技術だけではありません。最も大切なのは、「このお店は何のために存在するのか?」という、お店の「一番の目的(パーパス)」を働く人全員で明確にしていることです。
私たちのような小さなお店でも、まずは「当店がお客様に提供したいことは何か」、その目的を家族や従業員の方と話し合ってみましょう。
講演では、その目的を揺るぎないものにするために、以下の4つの土台が重要だと語られました。
- お店の信念(フィロソフィ)を大事にする:
「お客様に、最高に気持ちの良い時間を提供する」といった、お店の基本的な考え方を決め、ブレずに守り続けること。これが、商売を続ける上での「目的」の柱になります。 - 現場を動かす力(運営力)を高める:
お店で働く方々(ご家族や従業員)が、「このお店が好きだ」「お客様のために頑張りたい」と思えるような、日々のちょっとした工夫を続けること。 - お店の「こだわり」を徹底する力(現場管理力):
お店の雰囲気やサービスが、決めた「信念」からズレていないか、常に目を配ること。「まあ、いいか」と妥協せず、お店の「良さ」を守り続ける姿勢です。 - 心からのおもてなし(ホスピタリティ)を実践する:
お客様のために「何を、どこまでできるか」を考え、それを実行し、日々の営業後に「もっとこうすれば良かった」と振り返ること。
これらはすべて、お金をかけずに、私たち自身で決め、実践できることばかりです。
第2章:お客様に「また来たい!」と思っていただくための3つの柱
お客様に「楽しかった」「また来たい」という喜び(顧客体験価値)を感じてもらうには、次の3つの要素をいつも大切にすることが必要です。
| 柱となる要素 | 小さなお店での実践例 |
|---|---|
| 1.商品や企画(コンテンツ) | いつもの商品に「ちょっとしたサービス」を添える、季節の飾りつけをするなど。 |
| 2.気持ちの良いお店の様子(環境) | 「汚れる前に掃除をする」、お店の隅々まで清潔にする、心地よい挨拶をするなど。 |
| 3.働く人(人材) | お店の「一番の目的」を共有し、「お客様を喜ばせよう」という気持ち(モチベーション)を大切にすること。 |
特に、「気持ちの良いお店の様子」として、「掃除は、心からのおもてなしの原点」だと強調されていました。大掛かりな改装はできなくても、毎日、お店を磨き上げることなら、私たちでもすぐに実践できます。
第3章:働く人の「やる気」を引き出す、シンプルで大切な工夫
ご家族や数名の従業員で回しているお店にとって、働く人の「やる気」は一番の宝です。
有名テーマパークでは、働く人たちの行動の土台として、「お店の目標(ビジョン)」と、「働く人の一番の使命(ミッション)」、そして「行動の順番(基準)」をシンプルな言葉で共有しているそうです。
私たちも、「お店の目的」を決めたら、それを実行するための「うちの店で一番大事にすることは何だろう?」という行動基準を、皆で話し合ってみましょう。
例えば、
- お客様の安全を何よりも優先する
- 相手の立場になって、礼儀正しく接する
- 笑顔と機敏な動きで、気持ち良くお買い物を楽しんでもらう
このように、簡単な言葉で決めておくと、いざという時や、迷った時に「何をすれば一番良いか」がすぐにわかります。
第4章:「ありがとう」を毎日伝える魔法の習慣
講演で紹介された中で、一番心に残ったのが、働く人の「やる気」を高めるための「プラスストローク」という考え方です。
これは、相手の努力を認め、感謝し、「ありがとう」と伝えることです。
人は誰でも、「自分の存在を認めてもらいたい」「役に立っていると感じたい」という気持ちを持っています。これは、家族経営でも、従業員を雇っている場合でも同じです。
- 「今日はあの作業をテキパキやってくれて、助かったよ」
- 「お客様へのあの時の笑顔、素晴らしかったよ、ありがとう」
と、言葉や身振り(笑顔、話を聞く姿勢など)で「感謝」を伝える。
この「プラスストローク」は、お金も時間もかかりませんが、お店で働く人たちの「やる気」と、お店への「愛情」を大きく育ててくれます。
まとめ:私たちにできる「選ばれるお店」作り
有名テーマパークの成功の秘訣は、結局のところ、「お客様の幸せ」を一番の目的に、シンプルで大切なことを、毎日、徹底して、妥協せずに続けることでした。
私たち平岡商店も、今日の学びを活かし、
- お店の「目的」をハッキリさせる
- できることから「徹底」して行う(まずは掃除と挨拶から!)
- お店で働く人たちに「ありがとう」を増やしていく
という、自分たちにもできる一歩から実践していきます。
皆様のお店でも、まずは「目的」を改めて見つめ直し、「プラスストローク」を実践してみてはいかがでしょうか。小さな工夫が、きっとお客様に愛されるお店作りにつながるはずです。
(この記事は、平岡商店の店主が2025年10月31日の「DX総合EXPO」で聴講した内容を元に作成しました)

