目次
まず、「どう苦しいのか?」を見える化する
経営とは、経なる営み、と書きます。
経理とは、経・営・管・理を省略したものと読みます。
資金繰りが苦しい、どうもモヤモヤして、先行きの見通しがはっきりしない。
といったお悩みを抱える会社の多くが、今の自社の資金繰りが見える化されていません。
具体的に、どこが、どのように苦しいのか?
資金繰りが出来ている会社では、いつ、何の用途で、どれだけ、でる(はいる) が把握できています。
それは、なぜか?
当たり前の事ですが、帳簿付けができていないからです。
4Kサイクルが回っていますか?
皆さんは、日常的な経営管理サイクルをご存じですか?
事業である以上、すべての行為、行動は取引といいます。
電気をつけても、カフェで打ち合わせをしても経費が発生します。
これらの取引が発生した後、どのようにしていますか?
「つかう」・「うる」・「かりる」などの取引の後は、計上ー決済ー記録ー計画の順で進めていきます
計上ー決済ー記録ー計画の頭文字をとって4Kサイクルと言ってます。
資金繰りとは、単なる帳簿付けではなく、先行きの見通しを立てる事(計画)ですので
過去から現在までの歩みが正しく記録されていない状態では、先行きをクリアにすることは出来ませんね。
資金繰りが苦しい時のコーチング事例
ステップ① 決算、借入、資金繰り状況の把握(定量データで事業性評価)
ステップ② 想定リスクの抽出(上記①をベースに定性データで仮説設定)
ステップ③ 選択肢、優先順位付け(定量データ・定性データを活用したコーチングで絞り込む)
ステップ④ 具体的な実施事項、行動計画の作成(すべき、ではなく、できる事を決める)
ステップ⑤ 経営効率化策(上記①ー④で想定リスクが回避されるなら、こっちにも着手)
ステップ⑥ 事業構造、ビジネスモデルの把握(延命から維持、成長戦略の構築のため事業資源を理解する)
ステップ⑦ 短期中期的な資金運用、経営戦略(優先順位設定フレームワークを使うと整理できる)
リスクの分類
お金が払えない時に考えなければならないのがリスクの種類です。単に払えないとの判断だけでは、優先順位はつけられませんので、行動に結びつきません。いつ、どこに、どれだけ、足りないのか?その先の見通しは立つのか?厳しい現実を見える化することが、優先順位を設定するうえで大切です。
長年の暖簾とご家族の生活を護り、お取引先や地域の皆様との信頼関係の証である事業を継続するためには最悪の事態を避けなければなりません。リスクを正しくつかむことで、リスケジュールや銀行交渉も計画的に行うことが出来るようになるものです。
払わないのではない!
借金は悪、借金するくらいなら商売はやめるといった声をよく聞きます。いろんなお考えがあるのだと思いますが私はそうは思いません。稼いで遣うだけが経営ではありません、借りて回す方法もあるのだと思います。そして、経営には山あり谷あり、時には失敗することもあるでしょう。借りた金を返せないこともあるかと思います。
だからといって諦めてはいけません。返さないのではなく、返せないなりの計画を立てれば良いのです。金融機関への返済を減らす、延ばすといったリスケジュールも時には必要な選択肢です。
リスケジュールとは
金融機関からの借入契約時の返済計画を変更することを「リスケ」といいます。正式にはリスケジュールといいますので馴染み深い言葉だと思います。金融機関や、その時のご状況によって判断は異なると思われますが、決して恥ずかしい事ではありませんので正直に、早めに申し入れるのが良いかと思います。
一旦契約したものを変更するわけですからスマホでポチっという訳には行きません。しかるべき手続きをとることが多く返済猶予を決定するためには所定の手続きが必要となり、すぐに変更される訳ではないことを注意されるべきかと思います。
クラウド会計freeeを使って自分でできる資金繰り
クラウド会計freeeは、小さな事業者が自分で帳簿付け、経理が出来るようになることを目的として作られているので、個人事業主や家族経営の方にも使いやすい機能が安価でついています。4Kサイクルを回すのも簡単です。
領収書、請求書はこまめに写真を撮ってファイルボックスに保管する、インスタやツイッターに写真を掲載するより時間はかからないかもしれません。銀行通帳、クレジットカードは同期しておく。銀行に記帳に行く必要もありません。
これだけ出来ていれば、空き時間で簡単に帳簿付けが出来てしまいます。分からないことはチャット機能で相談。ここまでできていれば資金繰りも簡単です。
レポート機能を使えば、損益(儲かっているか?)、資金繰り(お金は足りているか?)リアルタイムで把握することが出来ますし、予定を入れ込んでおけば自分で資金繰りも事業計画も自分で管理できますので、先行きの見通しがはっきりしないモヤモヤ感も少し減るかと思います。
ただしながら、自分の帳簿付けがこれで合っているのか?先行きの見通しはこれで良いか?つい不安になるものです。財務知識のある方、専門家のコーチングを受けるなど、第三者の目も借りながらうまくやりくりすることをお勧めします。
嬉しい便り
早速に行動に移したご相談者から嬉しいメールをいただきました。
「もっと早く話が出来ていればよかった」
「ズバッと核心をついて助言をくれたのは初めて」
「前を向いて頑張る」
資金繰りが厳しくなると、新しいことに取り組むことで事態を打開することを考えます。とくに創業や事業承継などのバトンタッチから間もない経営者がそう考えることが多いようですが、損益と収支は違います。
利益を増やすためには調達、投資の手順を踏まなければなりませんので時間、資金、労力を費やします。決して間違っているわけではありませんが、手順を誤ることと、収支改善策を優先した上での利益向上策を打たなければ残念ながら逆効果になるのです。
建て直しにコーチングが必要な訳
建て直しコーチングは基本的に緊急手術的な要素が多く、ご相談者にも十分な資料が揃っていないケースが多いです。先日のご支援においてもお手持ちの決算書に基づき、直近の意思決定に必要な資金計画、収支計画を即興で作成。手書きノートやバタフライボードを使ってご相談者の現在位置を的確に表現すると一気に表情が緩みます。「そうそう!そうなんです!!」といって打ち明けてくれるのです。
ここでは暗黙知が発散、共有されるため、次の作業に入りやすくなります。決算書と現場にある最低限の資料とご相談者のお話から、その場でざっと作成するのが常です。多くの中小企業経営支援者が、実際の中小企業のニーズを満たせないのは、このアプローチが甘いからです。分かってくれない相手に実情は打ち明けられないからです。
ここに長年の経験に裏付けられた合理的懐疑心(内部監査アプローチ)に基づく問いかけ(コーチングアプローチ)が必要であり、経営支援者の中に、バランスシートや会計の大原則を中心としたフレームワークが存在することで、暗黙知の共同化が進むのです。
コーチングの世界では背景承認という技法がありますが単に背景を承認するだけではこれは実現しません。確実に相談者の期待を越え、確実に腹に落とすコミュニケーション技術(フレームワークに基づいた支援者の背景の的確な描写)が必要なのです。ビジネスストレングスコーチング®では、この手法をクリエイティブコーチングと呼んでいます。
今回のコーチングにおいても、短時間でご相談者自らが資金繰りの厳しさを具体的に把握され、直近の事業活動、主に入出金予定やそれに付随する業務による結果を想定することで、いつまでに、なにを、どれだけ、といった対策を具体的に立てて頂くことが出来ました。時間はかかるかもしれませんが、中長期的視点でじっくりと建て直せると思います。
資金繰りに関してのお悩みはぜひお気軽にご相談ください。