
どうすれば資金繰りを楽に、利益の出る会社に出来るのか?
創業、事業承継、事業再生。いずれの経営ステージにおいても売上を上げることは大切ではありますが企業が継続するためには利益を上げていかなければなりません。地元金融機関と連携して行った伴走支援型のコーチングの最終回を終えて、そういった会社作りのために、今から習慣化しておきたい5つの事柄をまとめてみました。
目次
経営とは?

資金繰りを楽にする、利益の出る会社作りを考える前に、まず会社を経営するという事は、何をすることか?という基本的な事柄を整理しておきましょう。「私はレストランを経営しています」という文章を英訳してみてください。
経営するとは管理監督することではなく、RUN=運転、走行といった意味があることが分かると思います。普段は社長室にいて現場にはほとんど顔を出さない、従業員と顔を合わせることもない、会社でもあまり見かけることが無い、といった社長さんもいらっしゃるのだと思いますが、かといって何もしていないわけではありません。基本的には運転をしているのだと理解されると良いと思います。
中小企業の経営管理はちょっと違う
中小企業や小規模事業者の経営というのは、営業物品一つ購入するにしても、細かいレシートの仕訳にしても、全ての事を自分でやらなければなりません。創業・起業もそうです。会社を辞めて起業した人、事業承継した人、定年退職後、子会社で管理者として再スタートした人、、様々な形で大組織出身者が中小企業の経営に携わられていますが、中小組織の経営者としての動きはずいぶん違いますね。
課題解決よりも課題発見が重要
経営に関する伴走型支援、コーチングやコンサルティングの多くの時間は解決策を提案する事よりも課題を発見することに時間を費やします。
たたき上げの経営者、創業メンバーや、経営者のご家族、奥様などの右腕役、番頭役が常日頃から会社の内部をよく見てくれている会社を除き多くの経営者、経営幹部、中間管理職は、課題や困りごとは挙げられるのですがその原因がしっかりとつかめていないケースが多いのです。事業承継や創業企業の成長期に関しても同様のケースが当てはまります。
伴走型支援コーチング(最終回)でのコーチング内容
金融機関経由でのご依頼に対応したコーチングは三か月に渡っての伴走型支援となりました。通常よりは短い期間ではありますが、それだけにご相談者への負荷が大きく、お忙しい中でたくさんの課題、宿題をこなして下さったことに感謝します。ご自身で課題を明確にされているからこそ、相談内容が具体的です。
利益の出る会社作りのために、まずは実態を正しくつかむことからはじめ、次に実態をさらに細分化しながら解決できるポイントを探り当てることに続き、最後は探り当てたポイントに対して、効率的、かつ効果的に解決策を落とし込んで経過を観察するプロセスへと続きます。
これらの一連のサイクルをご自身が全てやらないにしても、分かっていることが重要となってきます。
POINT
①部門別損益の精緻化
②マーケティング投資投資効率
③取引先別・商品別の販売管理手法
④経営計画、資金計画の運用方法
⑤銀行借入や返済に関する基本的な考え方
⑥融資、投資の違い、業績報告、プレゼンテーション資料作成や技法について
⑦サプライチェーンマネジメントについて(卸・小売の物流戦略)
⑧物流コストの考え方、アウトソーシングのポイント
⑨原価、コストの関係性について
ご支援の効果
短時間で自社の経営構造、収支構造をおおむね理解されたと思います。財務内容の改善、利益体質への転換のためには、まず自社の身体を正しく知ることから始まるため、通常の損益計算書、貸借対照表では把握できない活動管理基準、販売管理基準での実態把握方法を習得されたことに驚きました。
創業期から成長期にかけての事業構造の変化と対応策、想定リスクと対策の立て方についても理解が得られたため、新規取引の増加による大幅な売上増加を楽観視せず的確にリスクを捉えており、必要資金の算出や資金計画の早期立案、経営計画の有効な活用方法などについても理解を深められた。
緻密な財務管理、メインバンクへの業績報告などを継続的に推進されており、堅実で誠実な経営者としてのお人柄が伺い知られ、今後のご発展に期待大です!
厳しい資金繰りを改善し、利益の出る会社作りのために創業時からつけておきたい5つの習慣
利益の出る会社作りは一朝一夕にできるものではありません。経営とは日々なる営みです。毎日小さなことを積み上げていくこと、凡事徹底が最善策です。今回、コーチングをさせて頂いた経営者の方は、スポーツで鍛えられた精神力・リーダーシップも見事でしたが、以下のような点が特に素晴らしかったと思います。
①緻密な計数管理
計数(計算・分析して求めた定量的データ)を用いた経営活動の管理のことです。
経営における計数とは、原価や売上高などの会計数値、生産量・在庫量などの物量数値、官庁や各種団体、研究所などによる統計数値などがありますが、計数管理ではこれらの原数値を、分析手法や数学、コンピュータなどの力を借りて、経営における計画や統制の諸活動に役立てることを目的とします。
過去においてはいわゆる勘に頼る経営が多かったのですが、現代においては計数を用いて科学的に経営し管理していくことが重要だとされています。
②利害関係者との対話の習慣化
最近使われるステークホルダーという言葉と意味は同じです。企業における利害関係者の範囲は考え方によって異なりますが、主に以下になると思います。
■顧客(消費者)
■取引先企業(パートナー企業)
■投資家・株主
■社員・家族
■地域社会
この内利益を出すという点において大事なのは顧客・取引先企業・投資家・株主・社員などだと思いますが、これら利害関係者とのこまめな対話を繰り返すことは言うまでもなく大切になってきます。
③正しい実態把握
売上・原価・在庫状況など直接経営に関係するところは勿論、従業員が実際に働いている現場の実態を把握しておくことが経営者にとっては大切と思います。
④常に現状を疑う
先ほど経営するということを英語でRUN=運転することと言いましたが、一旦経営に関する課題を見つけ、それに対する改善策を行ったとしても半年後はまた状況が変わっているかもしれません。会社の状態というのは常に流動的です。
常に経営に関するあらゆる情報を取り入れ、次の一手を考えていかなければなりません。
⑤適切にコーチングを受ける
経営者と言うのは常に孤独なものです。何か分からないこと、気付けないことに対して相談できる信頼できるコーチが必要です。ご自身の会社の規模・業界・業種に適したコーチを慎重に選ぶ事が大事です。
家族経営に適したクラウド会計ソフトの活用法
家族経営の企業では、日々の経理業務が大きな負担となりがちです。特に、専門的な知識がないままに経理を行う場合、時間と労力がかかり、さらに正確性にも懸念が生じることがあります。こうした問題を解決するためには、クラウド会計ソフトの導入が非常に効果的です。中でも、初心者にも使いやすく、直感的な操作が可能な「freee」などのソフトウェアが、家族経営にとって最適な選択肢となります。
「freee」を活用することで、税理士にすべてを依頼するのではなく、家族全員で経理を担当することができます。これにより、会社の財務状況をリアルタイムで把握し、迅速かつ適切な意思決定が可能となります。経営に携わる全員が経理の基本を理解し、日々の業務に取り組むことで、経営の透明性が向上し、結果として会社全体の健全な運営に繋がるのです。
freeeの基本操作方法
「freee」は、会計の知識がない人でも簡単に操作できるように設計されています。例えば、銀行口座やクレジットカードの情報を自動で取り込む機能があり、取引の入力を自動化することができます。これにより、手作業による入力ミスや記帳漏れを防ぎ、正確な財務データを維持することが可能です。
また、領収書や請求書のスキャン機能を活用することで、書類の整理もスムーズに行えます。スキャンしたデータは自動的に会計データに反映されるため、紙の書類を一つ一つ手作業で記録する必要がなくなります。このような機能を活用することで、家族経営の企業でも簡単に正確な経理を行うことができ、経理業務の効率が格段に向上します。

家族経営での活用事例
実際に家族経営の企業が「freee」を導入した事例を紹介します。ある小規模な製造業を営む家族経営の会社では、経理を家族全員で分担して行っています。「freee」の導入により、経理担当者の作業負担が大幅に軽減され、他の業務に集中できる時間が増えました。例えば、月次の損益確認や予算管理も、freeeを利用することでリアルタイムに確認できるようになり、経営会議でも迅速な意思決定が可能になったといいます。
この会社では、毎月の終わりに「freee」を用いて収支報告書を作成し、それを基に家族全員で経営状況を確認しています。このプロセスが定着したことで、全員が経営の現状を共有し、共通の目標に向かって一丸となって取り組むことができるようになりました。家族経営の特性を活かしながらも、効率的かつ透明性の高い経理管理を実現した成功例といえるでしょう。
経理初心者でも安心!資金繰り改善の基本ルール
家族経営の企業において、資金繰りは経営の安定を左右する重要な要素です。しかし、経理の経験が少ない方にとって、資金繰りを管理することは大きな負担となりがちです。そこで、経理初心者でも安心して取り組める、資金繰り改善の基本ルールを紹介します。これらのルールを実践することで、会社のお金の流れを把握し、健全な経営を実現することが可能になります。
収支の見える化
資金繰り改善の第一歩は、収支の見える化です。会社のお金の流れを正確に把握するためには、日々の収入と支出を記録し、常に最新の状況を把握しておくことが重要です。経理初心者でも簡単に取り組める方法として、家計簿感覚で利用できる資金繰り表のテンプレートを活用することをお勧めします。
このテンプレートを使用することで、日々の支出や収入を簡単に記録でき、現金の流れを一目で把握することができます。例えば、収入には売上や銀行からの入金を、支出には仕入れや人件費をそれぞれ入力していきます。これにより、どの時点でどのくらいの資金が必要になるかを予測しやすくなり、突然の資金不足を防ぐことができます。
費用削減の具体策
資金繰りを改善するためには、無駄な支出を削減することも欠かせません。まずは、固定費と変動費を明確に分け、それぞれの費用を見直してみましょう。固定費には、家賃や光熱費、人件費などが含まれ、変動費には仕入れや広告費が該当します。
具体的な削減策としては、例えば、光熱費の削減のためにエネルギー効率の良い設備を導入することや、広告費の見直しによって、費用対効果の高いマーケティング施策にシフトすることが挙げられます。また、サプライヤーとの交渉を行い、仕入れコストを削減することも有効です。これらの取り組みを継続することで、経費を抑え、利益を増やすことが可能になります。
利益確保のための価格設定
最後に、利益を確保するための適切な価格設定も、資金繰り改善において重要な要素です。商品やサービスの価格設定は、ただ単に他社と比較して安くするのではなく、提供する価値に見合った価格を設定することが必要です。
まずは、原価と販売価格のバランスを考慮し、利益率を確保できる価格設定を行いましょう。さらに、市場調査を行い、顧客がどの程度の価格なら納得して購入するかを把握することも重要です。例えば、競合他社よりも少し高い価格でも、質の高いサービスやアフターサポートを提供することで、顧客にとっての価値を高め、販売価格を正当化することができます。
税理士を頼らない自立した経営者になるためのステップ
家族経営や中小企業において、税理士に頼ることは非常に有益ですが、全てを依存するのはリスクでもあります。自分たちで経営の数字をしっかりと把握することは、経営者としての自立を促進し、迅速な意思決定を可能にします。ここでは、税理士に依存せず、自立した経営者になるために押さえておくべき基本的なステップを紹介します。
月次決算の基本
まず、月次決算を習慣化することが重要です。月次決算とは、毎月の売上や経費、利益をまとめ、会社の経営状況を確認する作業です。これにより、会社の財務状況をリアルタイムで把握し、迅速な経営判断を下すことができます。
月末に行うべきチェック項目は以下の通りです:
- 売上の確認: その月の売上が目標に達しているかを確認します。目標未達であれば、その原因を分析し、次月の戦略を見直す必要があります。
- 経費の確認: 固定費や変動費をすべてリストアップし、計画通りの支出かどうかを確認します。無駄な経費が発生していないか、予算をオーバーしていないかをチェックします。
- 利益の計算: 売上から経費を差し引いて利益を算出します。利益が出ていない場合、その原因を分析し、改善策を考える必要があります。
これらのチェック項目を基に、毎月の経営状況を正確に把握することで、経営の健全性を保つことができます。

税金の基礎知識
次に、税金の基礎知識を身につけることが重要です。経営者として最低限知っておくべき税金の種類には、法人税、消費税、所得税などがあります。それぞれの税金がどのように計算されるのか、どのタイミングで支払う必要があるのかを理解しておくことで、突然の税金支払いに対応できるようになります。
例えば、法人税は利益に対して課税される税金ですので、利益を正確に把握していなければ正確な納税ができません。消費税についても、売上に対して発生する税金であり、売上額に応じて適切に計算する必要があります。これらの基礎知識を理解することで、税理士に依存せず、自分たちで税務処理を行うことができるようになります。
簡易的な決算書の読み方
最後に、決算書の読み方を習得することが大切です。決算書には、損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)が含まれ、これらを正確に読み解くことが、会社の財務状況を理解するための第一歩です。
- 損益計算書(PL): 会社の収益性を示す書類で、売上から経費を差し引いた利益が記載されています。この書類を見て、会社がどれだけ利益を出しているかを確認します。
- 貸借対照表(BS): 会社の財務状況を示す書類で、資産、負債、純資産が記載されています。これにより、会社がどれだけの資産を持っており、どれだけの負債があるのかを把握できます。
これらの書類を定期的にチェックし、会社の経営状況を理解することで、税理士に頼らずとも経営判断ができるようになります。
家族経営でのコミュニケーションが資金繰りを改善する
家族経営において、経営の成功を左右する重要な要素の一つが、日常的なコミュニケーションです。家族だからこそ信頼関係が強く、スムーズな意思疎通が可能ですが、その強みを資金繰りの改善に活かすためには、経営に関する情報を適切に共有することが欠かせません。ここでは、家族経営の企業が資金繰りを改善するための具体的なコミュニケーション方法と、その効果を最大限に引き出すためのポイントを紹介します。
家族会議の持ち方
家族経営において、定期的な家族会議を開くことは、経営の現状を把握し、今後の方向性を確認するために非常に有効です。家族会議では、以下のようなポイントを押さえて進行することが重要です。
- 議題の明確化: 事前に議題を設定し、会議で何を話し合うのかを全員が理解している状態を作ります。資金繰りや経費削減、利益の確保など、具体的なテーマを設定することで、話し合いがより効率的になります。
- 全員の意見を尊重する: 家族経営では、経営に関わる全員が発言できる環境を整えることが大切です。それぞれの立場や役割を尊重しながら、意見を交換することで、より良い解決策が生まれる可能性が高まります。
- アクションプランの設定: 会議で話し合った内容を具体的なアクションプランとしてまとめ、実行に移すことが大切です。誰が何をいつまでに行うのかを明確にし、責任の所在をはっきりさせることで、計画が着実に実行されます。
情報共有ツールの導入
家族経営における日常的なコミュニケーションを強化するために、情報共有ツールを導入するのも有効です。例えば、チャットツールやプロジェクト管理ツールを活用することで、リアルタイムで情報を共有し、迅速な意思決定が可能となります。
- チャットツール: SlackやChatworkなどのチャットツールを使うことで、日常的なコミュニケーションがスムーズに行えます。資金繰りに関する重要な情報や、急ぎの連絡事項を迅速に共有することで、対応が遅れるリスクを減らします。
- プロジェクト管理ツール: AsanaやTrelloなどのプロジェクト管理ツールを導入することで、各メンバーのタスク状況を把握しやすくなります。これにより、資金繰りに関連する業務の進捗を全員で確認し、必要に応じてサポートし合うことができます。
実際の活用事例
ある家族経営の製造業では、週に一度家族会議を行い、毎月の収支状況や資金繰りの現状を確認しています。また、Slackを導入して日常的な業務連絡や経営に関する情報をリアルタイムで共有しています。これにより、家族全員が会社の現状を把握し、必要な対策を迅速に講じることができるようになりました。
さらに、Trelloを使って各メンバーのタスクを管理し、資金繰りに関連する業務の進捗を可視化しています。例えば、月末の支払いや請求書の発行が滞らないように、リマインダー機能を活用して期限を守る仕組みを構築しました。このように、家族全員が同じ情報を共有し、協力して経営に取り組むことで、資金繰りの改善が図られています。
家族経営の強みを活かす会計管理のポイント
家族経営の企業は、信頼関係が強く、意思疎通がスムーズであることが大きな強みです。しかし、その反面、家族経営特有の「なあなあ」な雰囲気や、曖昧なルールが原因で、経理や資金管理が不十分になることがあります。こうした状況を改善し、健全な経営を実現するためには、家庭内での会計管理をどのようにシステム化するかが鍵となります。
家族経営では、家族全員が経理の基本を理解し、日々の業務に反映することで、資金繰りの透明性と効率が向上します。家族の誰か一人だけが経理を担当するのではなく、経営に関わる全員が経理の基礎を把握し、各々の役割を理解して協力することが重要です。これにより、経理業務が一部の人に負担として集中するのを防ぎ、会社全体で責任を分担することが可能になります。
具体的な取り組みとして、以下のような小さな習慣を家族全員で共有することが推奨されます。
- 毎日のキャッシュフローの記録: 毎日の収入と支出を簡単に記録することで、会社のお金の動きを把握しやすくなります。これにより、予期せぬ支出や入金遅れなどのトラブルを早期に察知し、迅速に対応することが可能です。
- 月次での損益確認: 毎月の終わりには、売上や経費を確認し、利益がどれくらい出ているかをチェックします。これにより、どのような施策が効果を発揮しているのか、またどの分野に改善の余地があるのかを見極めることができます。
- 簡単な収支報告の作成: 月次の結果を基に、簡単な収支報告を作成します。これは、家族全員で経営状況を共有するための重要な手段となります。収支報告は、誰にでも理解できるようなシンプルな形式でまとめることがポイントです。
これらの取り組みを習慣化することで、経理の見える化が進み、家族全員が会社の現状を把握できるようになります。さらに、全員が経理に関与することで、資金繰りに関する意識が高まり、経営全般における意思決定の質が向上します。これが結果として、会社の利益向上や持続的な成長に繋がるのです。

おわりに
今回の記事では、家族経営における資金繰り改善や利益向上のために効果的な5つの習慣が紹介されています。
これらの習慣には、緻密な計数管理や利害関係者との対話、現状把握の重要性などが挙げられています。
また、家族全員が協力して経理業務に取り組むことのメリットについても詳しく解説されています。
特に、会計ソフト「freee」を活用することで、経理初心者でも簡単に経営管理ができるとし、家族全員で経営状況を共有し、会社全体で透明性と効率を向上させる方法が示されています。
家族経営でも安心できる経営環境を作るには、気軽に平岡商店までお問い合わせください。