「社員教育」の相談で見えてきた、本当の課題
― 支援機関と連携した創業期支援事例 ―
創業から数年。商品力もあり、売上も順調に伸びている。一見すると、勢いのある会社でした。今回ご相談いただいたのは、地方の食品製造業を営む女性経営者。最初の相談内容は、
「社員教育をどう進めればよいか」というものでした。
社内の雰囲気が悪い。
社員との関係もうまくいかない。
思うように組織がまとまらない。
経営者自身も、どこか苦しそうでした。この案件は、支援機関からのご紹介でした。実は当初、私は「社員教育」の専門家として呼ばれたわけではありません。支援機関の担当者の方が、「本当の課題は別にあるのではないか」と感じ取り、再生支援経験のある私をマッチングしてくださいました。
本当は、資金繰りに強い不安を抱えていた
支援では、まず日繰りを確認しました。すると、見えてきたのは、「売上は伸びているのに、お金が足りない」という現実でした。創業以来、順調に成長している。しかしその一方で、設備投資や人員増加など、成長に必要な資金調達が追いついていませんでした。つまり、「社員教育」の前に「資金が持つのか」という局面だったのです。ただ、ご本人もそのことを明確には言葉にできていませんでした。なぜなら、それまで会社員として働いてこられ、創業後も必死に現場を回してきたからです。急に社長になったからといって「お金の色」まで理解できるわけではありません。それでも、社長は社長です。「不安です」「お金が苦しいです」と言ってよいのかも分からない。だから、社員教育として悩みが表面化していたのだと思います。
まず必要だったのは「不安を整理すること」
支援では、資金の動きや、商品の動きなどを一つずつ整理していきました。すると、「なぜ苦しいのか」が少しずつ見えるようになっていきました。創業期の会社では、「頑張れば何とかなる」で走り続けてしまうことがあります。しかし、成長期ほど、資金、人、管理のバランスが崩れやすい。だからこそ、
- 今何を優先するのか
- 何を止めるのか
- どこに資金を使うのか
を整理する必要があります。数字を整理しながら対話を重ねることで、経営者自身も徐々に会社の状態を客観的に見られるようになっていきました。
最後に会社を変えたのは、経営者自身の決断だった
この案件で最も印象的だったのは、経営者自身の変化です。ご本人は非常に苦しい決断をされました。創業地だった直営店を閉店。さらに、自ら工場へ入り、長時間現場に立ちながら、数字や経営について猛勉強を重ねられました。それまで苦手意識のあった数字とも正面から向き合い、経営改善を進めていかれました。支援者が出来ることには限界があります。最終的に会社を変えるのは、経営者自身です。この会社は、その後大きく改善し、現在では地域を代表する女性経営者として活躍されていると伺っています。
小さな会社では、「人の問題」に見えることがある
小さな会社では、社員が動かない、雰囲気が悪い、会話がかみ合わない、といった悩みが表面に出ることがあります。しかし実際には別の問題が背景にあることも少なくありません。だからこそ平岡商店では、表面に見えている課題だけではなく、数字や経営の流れを整理しながら、本当の原因を一緒に確認していくことを大切にしています。
社員教育、資金繰り、組織づくりの悩みは、別々の問題に見えて、実はつながっていることがあります。創業期・成長期の経営課題を整理したい方は、まずは現在の状況をお聞かせください。


