試算表が半年止まる会社で、本当に起きていたこと/老舗食品製造業の事業承継支援
地方の老舗食品製造業からご相談をいただいた時、最初に伺ったのは、「試算表が半年出てこない」という話でした。
顧問税理士からも、金融機関からも催促されている。
社長も現場に指示している。
それでも、一向に改善しない。
事業承継を控えた会社でした。後継者の方も危機感を持っておられましたが、何から手を付ければ良いのか分からない。
そんな状態でした。
表面的には「経理の遅れ」だった
最初は、
- 経理体制の問題
- 人手不足
- 管理不足
のように見えました。しかし、実際に現場へ入り、
- 製造
- 出荷
- 在庫
- 受発注
- 売掛・買掛
- 現場動線
- 帳票
- 社員ヒアリング
を重ねていくと、見えてきたものは全く違いました。問題は「経理担当者が動かない」ことではありませんでした。
現場は、既に限界まで頑張っていた
実際には、
- 人手不足
- 欠品対応
- 誤出荷修正
- 急な受注変更
- 在庫差異対応
などに追われ、事務担当者は毎日、優先順位を付けながら“止血”を続けていました。つまり、
「試算表を作れない」のではなく、「そこまで辿り着けない」
状態だったのです。しかも、その状況を経営者側が十分に把握できていませんでした。小さな会社では、
- 社長
- 家族
- 現場
- 経理
の距離が近いようで、実は見えていないことが多くあります。
本当の問題は「構造」だった
さらに深く見ていくと、問題は単なる経理遅延ではありませんでした。
- 在庫管理
- 受発注フロー
- 情報共有
- 業務分担
- レポートライン
など、長年積み重なった“構造”が複雑に絡み合っていました。加えて、事業承継期特有の、
- 親子間の考え方の違い
- 古参社員との関係性
- 相続問題
- 将来不安
も背景にありました。つまり、
「試算表が遅れている」
のではなく、
「会社全体が限界状態だった」
のです。
まず必要だったのは「責めること」ではなかった
この局面で必要だったのは、「誰が悪いか」を探すことではありません。まず必要だったのは、
- 現場を知ること
- 実態を共有すること
- 優先順位を決めること
でした。そのため、
- 現場ヒアリング
- 業務確認
- 個別面談
- 在庫確認
- 帳票確認
- 日々の運用確認
を繰り返しながら、「今、何が起きているのか」を整理していきました。
“改善できる形”まで落とし込む
改善活動では、理想論ではなく、「今の人数でも回せるか」を重視しました。その結果、
- 試算表遅延の解消
- 在庫管理改善
- 受発注整理
- 業務分担見直し
- 金融機関への説明体制整備
まで進めることができました。後継者の方とも、
- どんな会社にしたいのか
- 何を残したいのか
- どこから変えるべきか
を整理していきました。
事業承継は「引き継ぎ」ではなく「整理」
事業承継というと、「誰が継ぐか」に意識が向きがちです。しかし実際には、その前に、
- 現場
- 数字
- 人間関係
- 業務構造
を整える必要があります。小さな会社ほど、“見えない疲弊”が積み重なっています。だからこそ、数字だけではなく、現場と人の動きまで見ながら整理していくことが大切だと考えています。
試算表の遅れ、在庫管理、現場との認識のズレなど、表面に見える問題の奥には、別の原因が隠れていることがあります。まずは現在の状況を整理するところからご相談ください。


