社長が変わった。/卸売業の再建

― 「何もわからない」から始まった若手後継者の経営改革 ―

支援の結果

■ 半年で資金ショート危機を回避し、資金繰りを安定化

■ 経理・会計・原価管理を再構築し、利益が残る仕組みを確立

■ 販売管理・営業管理・業務分担の整理により組織運営を改善

■ ベテラン社員との関係修復が進み、社内の風通しが改善

■ 後継者自身が「数字で判断できる経営者」へ成長


ご支援の経緯

ご相談いただいたのは、家族経営の中小企業で急遽事業承継を担うことになった若い後継者の方でした。先代社長の急な離脱をきっかけに経営を引き継いだものの、経営経験はほとんどなく、「何を基準に判断すればいいのか分からない」という状態からのスタートでした。さらに厳しかったのは、焦りから現場との対話を十分に行わないまま、会社を急激に変えようとしてしまったことでした。

若い後継者として、「自分が会社を立て直さなければ」「早く結果を出さなければ」という強い責任感が先行し、経験不足があらゆる場面で表面化していきます。現場との温度差は広がり、ベテラン社員との関係もぎくしゃくし始め、資金繰りも急速に悪化。このままでは資金ショートの危険もある、非常に厳しい局面でした。そんな中で、この後継者の方が立派だったのは、「自分一人では限界がある」と認め、徹底して学ぶ姿勢を持たれたことでした。

「全部教えてください」

そう言って、経営者としてゼロから学ぶ覚悟で、私の伴走支援を受け入れられたのです。


まず行ったこと:経営の“現在地”を見える化する

最初に取り組んだのは、会社の現状把握でした。資金繰り、会計、売掛金、在庫、原価、販売管理、営業状況――。感覚や経験則ではなく、「数字」と「現場」の両面から会社を整理していきます。

確認していくと、

・利益が出ていると思っていた商品で実は利益が出ていない
・原価計算が曖昧なまま価格設定している
・売上はあるのに資金が残らない
・営業活動が属人的で再現性がない
・現場の負担が偏っている

といった問題が次々に見えてきました。特に大きかったのは、「利益を生み出している事業」と「忙しいだけで利益が残らない仕事」が整理されていなかったことです。会社全体が一生懸命動いているのに、お金が残らない。これは家族経営では非常によく起こる問題です。そこで、経理・会計・原価管理を徹底的に見直し、「なぜ利益が残らないのか」を一つひとつ言語化・数値化していきました。


平岡塾式の伴走支援

今回の支援では、単なるアドバイスではなく、実務レベルまで深く伴走する形を取りました。資金調達、銀行交渉、試算表、在庫管理、販売管理等、必要なことを、現場で一緒に実践しながら身につけていきます。後継者の方は非常に素直で、学んだことを即実行に移されました。数字の意味を理解すると、翌月には改善策を実行する。現場から意見を聞いたら、その内容を翌週には反映する。この「学ぶ→実行する→改善する」のスピードが非常に速かったのです。そして途中から、大きな変化が現れます。それまで距離のあったベテラン社員の声を、積極的に聞くようになったのです。現場には、長年会社を支えてきた経験があります。若い後継者がその声に耳を傾け始めたことで、社内の空気が徐々に変わっていきました。

「社長が変わった」

そう感じた社員が増え、現場との壁が少しずつなくなっていったのです。


半年後、会社は大きく変わり始めた

支援開始から半年ほどで、最も危険だった資金ショートの危機は回避されました。資金繰りの管理精度が上がり、先手での対応が可能になったことで、経営の不安定さが徐々に減っていきます。さらに、

・利益の出る仕事への集中
・不採算取引の見直し
・営業管理体制の整理
・業務分担の再設計
・原価把握精度の向上

などが進み、会社全体の利益体質が改善していきました。現在も支援は継続中ですが、以前のような「誰も状況が分からない会社」ではありません。数字を見ながら経営判断を行い、現場と対話しながら改善を進める組織へと、確実に変わり始めています。


小さな会社の事業承継で本当に大切なこと

家族経営の事業承継では、「後を継ぐ」こと自体よりも、その後どう経営を学び直すかが重要です。特に小さな会社では、先代社長が長年一人で抱え込んでいることが少なくありません。その結果、後継者は「社長になった瞬間」に、突然すべての責任を背負うことになります。ですが、最初から完璧にできる人はいません。大切なのは、

・現状を正しく把握すること
・数字を理解すること
・現場の声を聞くこと
・一人で抱え込まないこと

です。今回の事例は、まさに「孤立した後継者」が、学びと伴走支援を通じて経営者へ成長していったプロセスそのものだったと感じています。


事業承継・資金繰り・経営改善でお悩みの方へ

平岡商店では、家族経営・中小企業の現場に寄り添いながら、資金繰り改善・経営管理体制構築・事業承継支援を行っています。単なるアドバイスではなく、現場で一緒に考え、一緒に動く伴走支援を重視しています。

「会社を継いだが、何から始めればいいかわからない」
「資金繰りが不安」
「数字が読めない」
「現場との関係に悩んでいる」

そうした方は、お気軽にご相談ください。