再生支援。業務監査と在庫管理/食品製造業
ご支援の背景
支援機関による支援を受けていた、食品製造業の家族経営企業からのご相談でした。
資金繰りは厳しく、金融機関とのリスケジュール対応やバンクミーティングも繰り返されていました。
しかし、
- 実現性の乏しい事業計画
- 計画未達の説明
- 資金繰り対応
が続く一方で、現場では混乱が続いていました。そんな中、「このままでは会社が回らなくなる」と感じたご家族から支援要請をいただきました。
現場で起きていたこと
実際に現場へ入ってまず感じたのは、「在庫管理が機能していない」ということでした。ただ、これは誰かが怠けていたわけではありません。そもそも、
- 何を
- どのように
- どこまで
管理すべきなのかを、体系的に教わる機会がなかったのです。親の代から続いてきたやり方を、現場で必死に回し続けている。そんな状態でした。
一部社員へ負担が集中していた
現場では、
- 製造
- 出荷
- 電話対応
- 帳簿入力
- 請求書発行
- 在庫管理
など、多くの業務が同時進行していました。しかし、人手も時間も足りません。そのため、「今すぐ必要な仕事」を優先する中で、
- 在庫照合
- 帳簿付け
- 請求管理
など、管理業務が後回しになっていました。結果として、「在庫が合わない」「何がどこにあるのか分からない」という状態が発生していました。
在庫管理は“会社の身体”を見ること
在庫管理というと、「数量を合わせること」と思われがちです。しかし実際には、在庫は会社の状態を把握するための重要な指標です。私は、「在庫は会社の身体で言うと腰」だと考えています。腰が不安定になると、身体全体に影響が出ます。同じように、在庫管理が曖昧になると、
- 原価
- 利益
- 資金繰り
- 現場負荷
すべてが見えにくくなります。
最初に行ったのは「業務監査」
今回まず行ったのは、「現場監査」です。
- どこで業務が滞っているのか
- 誰に負担が集中しているのか
- なぜ在庫が合わないのか
を、現場で確認していきました。その上で、社長親子へ現状を整理して説明。さらに、
- 役割分担
- 在庫管理方法
- 日次・月次の在庫照合
- 修正方法
を支援しながら、少しずつ「管理できる状態」づくりを進めていきました。
在庫を取ることが目的ではない
在庫管理は、単に数量を数えることではありません。毎日の在庫差異には、
- 現場負荷
- ミス
- 業務混乱
- 情報不足
など、多くの“現場のサイン”が隠れています。だからこそ、「なぜ差異が出たのか」を現場と一緒に確認することが重要になります。在庫管理とは、現場を責めるためではなく、「会社の状態を正しく知るため」に行うものだと思っています。
銀行との情報共有も支援
改善状況については、社長親子同席のもと、メインバンクへ報告。
- 現場改善の進捗
- 在庫管理改善
- 管理体制の整理
- 今後の見通し
を共有していきました。資金繰りが厳しい時ほど、「今、何を改善しているのか」を金融機関へ共有することが重要になります。今回は、単なるリスケ対応ではなく、「会社を整理し直している過程」を共有していく支援でもありました。
少しずつ「見える経営」へ
今回の支援では、
- 現場監査
- 在庫管理
- 役割整理
- 銀行共有
を通じて、少しずつ「見える経営」へ整理していきました。家族経営では、現場に近いからこそ、
逆に問題が見えなくなることがあります。だからこそ、まずは現場を整理すること。それが、会社を立て直す第一歩になるケースも少なくありません。


